アレルゲン免疫療法（舌下免疫療法）について |
当院では、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対して、アレルギー免疫療法（舌下免疫療法）を行っております。花粉症やアレルギー性鼻炎には、一般的にはアレルギーを抑える薬物療法が一般的ですが、これは症状を一時的に抑えるだけで、根本的な治療ではありません。アレルギー反応を出にくくする根本的な治療として、少量のアレルゲンを曝露していくアレルギー免疫療法が古くから行われていましたが、皮下注射による治療であったため、頻回の通院が必要でした。近年、新しく舌下に錠剤を置くタイプの薬剤が開発され、自宅での治療が可能になりました。
▼ 舌下免疫療法についてはこちらを参照ください
https://www.torii-alg.jp/slit/faq.html
舌下免疫療法の利点
- 自宅で治療できる
- 著効した場合、内服をしなくて良くなったり、酷いときだけにできる
- 3～5年治療した後も有効性が持続する
（ただし再発したら再度治療必要となります）
舌下免疫療法の欠点
- 3～5年と長期に治療が必要
- 服用後2時間は、激しい運動、入浴、飲酒ができない
- 無効例がある
（同じアレルギーでも、反応しているアレルゲンの部位が異なるため、人によっては無効な場合があります） - スギとダニ以外のアレルギーには適応がない
舌下免疫療法を受けられない方
以下の方は、舌下免疫療法を受けられません
- 5歳未満の小児
（適応は5歳からになりますが、自己管理などの観点から当院では、開始は小学生以上の方にお勧めしております） - アレルギー検査で、スギやダニが陽性で無い方
- 定期的な通院ができない方
- 重症の気管支喘息の方
- 重い心臓病、自己免疫疾患、免疫不全、慢性感染症の方
- 癌の治療中の方
- 高血圧や心疾患でβ遮断薬を内服中の方
- ステロイド、免疫抑制剤を内服中の方
- 妊娠中、授乳中の方
（すでに開始されている方は継続できる場合があります）
費用
治療は保険適応で、3割負担の方で1月2500～3000円ほどになります（スギとダニ両方すると、4500～5000円ほどになります）。
初診時には、初診料や検査代などがかかります。保険診療ですので、小児などで自己負担のない方は、費用は発生しません。
治療の流れ
1）診察
通常の診察時間に、問診、身体所見を取ります。血液検査でアレルギー検査を行います（すでに当院または他院で検査されており、データの分かる方は不要）。
2）初回投与
予約した時間に来て頂き、注意事項の説明と、初回投与を院内で行います。副作用が出ないかどうか、院内で30分滞在していただきます。30分後に、体調に問題なければ帰宅していただきます。
3）再来院
1週間後に再診していただき、問題なければ1週間後以降の増量分の薬剤を処方します。その後は1ヶ月に1回の来院になります。
3～5年の治療終了後は？
舌下免疫療法は新しい治療のため、3～5年の治療終了後の長期経過については、まだデータが出ておりません。ある程度の期間は効果が持続するとされますが、スギ花粉症などで症状の再発がみられる症例があるようです。その場合、1年程度再投与することで、また症状を抑えることができるとされています。
